女性1 患者さんの声-10代女児-

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インタビュー対応:母親

お風呂あがりに初めての失神

学校の心電図検査で要検査となったので、病院で詳しく調べていただいたところ、QT延長症候群と診断されました。
診断後はお薬を服用しながらこれまで通りの日常を問題なく過ごしていたのですが、ある日、お風呂あがりに初めて失神しました。先生から今後の治療方針を検討するためにWCDを着用しましょうというお話がありました。

着用中の苦労

ベストと聞いたので薄いものを着るだけだろうと思っていたところ、実際は肩から下げるコントローラもついているということで本人はちょっと驚いていましたが、これでいろいろとわかるなら仕方ないよねと納得していました。
年齢的にWCDを着用していることを周りに知られたくないという気持ちがあり、学校生活では、制服の上からコントローラを下げ、その上からジャージを着てコントローラを隠していました。それでも「あれ?」と気づく子がいたり、また、電極がずれて授業中にコントローラから音声が流れることが何回かあったなど、困ったことがあったそうです。
睡眠時も少し苦労したようです。背中部分にあるスマートフォンのような形の除細動電極が痛かったようでした。マットを多めに敷いて多少は改善されましたが、当たる感じはずっとあったようです。
また、ベストの上に下着を着用するということで、娘はスポーツブラを着けていましたが、特にみぞおち部分の下着の締め付けが痛かったようです。

それでもWCDを着けていることで安心感がありました

また失神するのではという不安が常にありましたので、娘がWCDを着けていることで母親としては強い安心感がありました。安心感については娘も同じように思っていたようです。約3か月の着用期間中に失神は起こりませんでした。
娘の年齢的にWCDの着用に関しては多少のストレスがあったようですが、命を救うこのようなベストタイプの装置を着用することで、大きな問題が起きる前に状態を確認して安心できたのは良いことだったと思っています。

主治医

主治医コメント

藤田医科大学病院 小児科 齋藤 和由 先生



患者様は中学校心臓検診の2次検診にて抽出され、当院にて運動負荷試験、遺伝子検査等からQT延長症候群と診断されました。リスク評価の後、運動制限と抗不整脈薬内服で管理されていました。失神などのエピソードもなく安定して2年半ほど経過しておりました。
しかし、昨年の秋ごろ、入浴後に短時間の失神発作を認めました。ご本人の話ではいつもの立ち眩みとは異なり、突然に意識消失したということで、起立性調節障害よりも不整脈による失神を疑いました。これまで失神発作を捉えられていないことと植込み型除細動器(ICD)の適応を検討するため、WCDを装着することにしました。
患児は中学生であり、体格的に問題なくWCDの装着が可能で、機器の使用方法に対する理解も良好でした。
WCDを使用して約3か月間、問題なく過ごされました。幸いWCDの作動もなく、WCD着用期間も含めて現在まで失神の再発も認めず、不整脈を捉えることは出来ていません。
現状は運動制限+薬物療法を強化しながら外来フォローアップしております。このまま安定した状態が続くことを願っております。

掲載:2022年02月04日