男性2 患者さんの声-50代男性-

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インタビュー対応:本人、奥様

初めての失神は会議中でした

本人)会社で会議に参加している最中に突然意識を失いました。気づいたときには周りが騒然としており、自分が失神したことを知りました。救急車で運ばれた会社近くの病院でブルガダ症候群と診断され、驚きました。これまで自分の心臓に違和感を覚えたことはありませんでしたから。
自覚症状もなく、初めての失神ということで、今後の治療についてはWCDを着用しながら様子を見ましょう、と主治医の先生から説明を受けました。次にいつまた発作が起こるかわかりませんが、WCDを着用していれば致死性不整脈を検知した場合、自動で電気ショックによる治療を施行してくれるのでひとりでいるときも安心ですよ、というお話でした。
今後のことを考え、通院しやすい自宅近くの病院へ転院をお願いしたところ、希望した転院先もWCDを処方していただける病院でしたので、WCDを着用したまま転院しました。

2度目の失神、電気ショック、
気づいたときには致死性不整脈から救命されていました

本人)転院して間もないある夜、気づいたら妻が慌てて対応していました。コントローラからアラーム音が鳴り、妻が近所に住む娘へ電話をかけている声を聞きながら、自分がまた意識を失い、WCDによる電気的除細動(電気ショック)が作動したことを知りました。
失神したときの状況はよくわかりません。
ひとりで寝室にいたときに致死性不整脈が起こり、気づいたら救命されて意識を取り戻した、それだけです。痛みも苦しみもありませんでした。

WCDを着用していなかったら、主人は生きていません

奥様)お風呂に入る準備をしていたら、寝室からどんどん大きくなるアラームが聞こえてきました。慌てて寝室に向かうと、主人がベッドで仰向けになり、顔色は青白く、意識を失っていました。救急車を呼ぶために急いで部屋を出て、119番通報した後、再び寝室へ戻ると、仰向けになって意識を失っていた主人がベッドに座ってぼんやりしていました。主人は自分が意識を失って電気ショックにより意識を取り戻したことを全くわかっていませんでした。 WCDを着用していなかったら、主人は生きていません。先生に勧められてWCDを着用して本当によかったです。心から感謝しています。

後からWCDはどこでも処方してもらえるわけではなく、要件を満たす病院でのみ着用できることを知り、最初の病院でWCDを紹介されたこと、また転院先でもWCDの処方が可能だったこと、私たちは本当に運がよかったと思っています。

主人のように心臓突然死予防のためにWCDを着用することで、本人も家族も安心して日常生活を送ることができるようになるならば、WCDを必要とする方々にとって、より多くの病院で処方してもらえる環境が整えば、とても心強いと思います。

主治医

主治医コメント

埼玉医科大学国際医療センター 心臓病センター 不整脈科 診療部長 教授
加藤 律史 先生



本患者様はブルガダ症候群の失神例です。失神後すぐに職場に近い前医に入院となりましたが、当初の失神が不整脈原性失神かどうか判りにくく、また遠方であるということから、前医の先生方の適切なご判断によりWCD装着のまま当院に転医となりました。しかし、装着後2週以内の当院来院後すぐに2回目の発作がおきてしまいました。
幸いなことにWCDの適切作動により、事なきを得ています。このときの作動はWCD記録によると短い連結期の心室期外収縮からそのまま心室細動に移行し1回のショックで無事に洞調律に復していました。間もなくこの方はS-ICD装着となり、S-ICDでも植込み後1月ほどで作動が確認される活動性の高い状態でしたが、現在薬物療法併用で落ち着いています。
このようにブルガダ症候群の患者様では、イベントが急に立て続けに起きてしまうことがあり、本人もすぐにICD植込みを決断できず、本来は病状説明や意思確認などをゆっくり相談できる時間があることが望ましいと思います。
またさらに転医の場合は医療者側も、患者様の状態を把握し、治療方針を決定するのに時間が必要なこともありますが、このような場合にもWCDは安心して使用可能で、非常に有用なツールであると思います。

掲載:2022年02月04日